家具・家電のレンタル事業を展開するCLAS(クラス)は、パナソニック系のCVCや金融機関などから13億8,000万円の追加資金を調達した。エクイティとデットを組み合わせたもので、出資・融資にはパナソニックとSBIインベストメントが共同で運用するファンドのほか、静岡銀行、商工組合中央金庫、山梨中央銀行、PC-SBI投資事業有限責任組合などが参加した。今回を含む累計調達額は114億6,000万円となる。
CLASは2018年創業。ソファやベッド、デスクに加え、冷蔵庫・洗濯機・テレビといった家電まで、必要な期間だけ月額で借りられるサービスを個人向けに提供してきた。転勤や引っ越しが多い層を中心に、初期費用や廃棄の手間を抑えられる点が支持され、2026年2月時点の個人会員は約27万人、法人アカウントは約3,500件に拡大している。
同社の特徴は、返却品を修理・清掃して次の利用者に再提供する「循環型」の運用にある。新品を一度売って終わるのではなく、同一製品を複数回貸し出して収益化する設計だ。CLASが公表した実証ベースの評価では、従来の単発販売と比べ、廃棄物排出と新規資源投入をそれぞれ38%、CO2排出を36%削減できたとしている。資源効率の向上は環境面だけでなく、在庫の稼働率を高めて収益構造を安定させる上でも鍵となる。
一方で、レンタルは多額の在庫投資に加え、配送・回収・保管・整備に対応する物流インフラが欠かせない。規模拡大に伴い運用コストも増えやすく、会員数の伸びが直ちに収益性の改善に結び付くとは限らない。CLASがエクイティに加えて銀行融資やアセットファイナンスを継続的に活用しているのは、この資本集約度の高さが背景にある。
事業領域は個人向けから法人・不動産分野へ広がる。法人向けの「CLAS Biz」では、オフィスの新設・移転に必要な家具・家電に加え、PCやタブレットなどのIT機器、清掃・防災用品まで一括で提供する。稼働人数の増減に合わせて設備の規模を柔軟に調整でき、初期投資の圧縮ニーズを取り込む。空室対策としては、賃貸物件に家具を設置して魅力を高めるホームステージングを展開し、東急不動産の賃貸住宅「コンフォリア」の一部物件には家具付き賃貸を供給し始めた。
価格上昇で耐久財の購入に慎重さが増す中、レンタルと購入の間を埋める取り組みも進む。CLASは2026年4月、新品を90日間自宅で試用し、そのまま購入もできる「90days購入プラン」の実証を開始した。サイズ感や使い勝手のミスマッチを抑えたい需要に対応する狙いである。
今回の出資者の中で目を引くのがパナソニックだ。同社は7月28日、自社CVCを通じたCLASへの投資を公表した。製造後の「使われ方」や回収・再利用までを含むデータが蓄積される循環型の流通は、メーカーにとっても製品設計やアフター市場の捉え方を広げる。販売後のタッチポイントが増えることで、価値提供の範囲が拡張する可能性がある。
CLASは2025年に第4四半期の営業黒字化を達成したと発表しているが、在庫回転や回収・整備コストの低減、法人分野での反復収益の積み上げなど、収益モデルの磨き上げは引き続き課題となる。13億8,000万円の新たな資金は、商品在庫と物流網の強化、循環オペレーションの効率化に充てられるとみられ、所有から利用へと価値観が移る日本の家具・家電市場で、このモデルを持続的な事業として定着させられるかが問われる局面に入った。