台湾の国慶日3連休、出勤したら賃金はどうなるのか 10月9日は国定休日扱い

2026年の台湾では、10月10日の国慶日が土曜日に当たるため、一般的な週休二日制を採る職場では10月9日から11日までの3連休になりやすい。ここで実務上もっとも重要なのは、3日間がすべて同じ「休日」ではないという点だ。台湾労働部が10月7日に公表した整理によれば、典型例として月曜から金曜が勤務日、土曜が休息日、日曜が例休日という勤務形態では、10月9日は国定休日の補休日、10月10日は休息日、10月11日は例休日として扱われ、出勤した場合の賃金計算もそれぞれ異なる。

結論を先に言えば、同じ8時間勤務でも、10月9日に出勤した場合は「国定休日に働いた」扱いとなり、月給制で通常賃金が別途支払われる前提のうえで追加分は1日相当となる。一方、10月10日は休息日労働として時間帯ごとの割増計算が適用され、同じ条件なら追加額は10月9日より大きくなる。10月11日は例休日であり、天災や突発事由など法定の例外がない限り、原則として働かせること自体ができない。台湾で働く人や、台湾拠点を持つ日系企業の人事担当者にとっては、まずこの3日の性格の違いを分けて理解することが出発点になる。

今年のカレンダーで何が起きているのか

台湾の労働基準法では、内政部が定める記念日や節日などの国定休日は休暇とされ、賃金は支給される。2026年は10月10日の国慶日が土曜日に重なるため、労働部は、国慶日が労働者の「休息日」または「例休日」に当たる場合には、別の勤務日に補休を与える必要があると説明した。行政院人事行政総処の2026年カレンダーでも、国慶日は10月9日金曜日に補休が設定され、3連休になる形が示されている。

ただし、ここで注意すべきなのは、行政機関向けカレンダーがそのまま全労働者に一律適用されるわけではないことだ。台湾労働部も、事業所ごとに運営形態やシフトが多様で、休息日や例休日が必ずしも土日とは限らず、国定休日の補休日も個別に異なり得ると明記している。つまり、10月9日が必ず全員にとって補休日になる、と機械的に言うことはできない。一般的な週休二日制ではそうなりやすいが、最終的には雇用契約、就業規則、勤務表、そして労使間で明確に定めた休日区分を確認する必要がある。

制度面を押さえると、台湾では毎7日のうち1日は例休日、1日は休息日を設けるのが原則で、さらに国定休日はこれとは別に与えられる。例休日は保護色が最も強く、休息日は一定の条件のもとで出勤させる余地がある。国定休日は「本来休む日」であり、出勤させるなら法定の追加賃金が必要になる。今回の国慶日連休は、こうした3種類の休日が10月9日、10日、11日に並ぶため、見た目は連休でも賃金実務は一日ごとに別計算になる。

10月9日:補休日でも性格は「国定休日」

労働部が示した典型例では、10月10日の国慶日が土曜の休息日に重なるため、前日の10月9日金曜日を補休日として休ませる。この10月9日は、単なる会社都合の休みではなく、「国定休日の補休日」という扱いになる。したがって、出勤させる場合には労働基準法39条の「休假日出勤」、つまり国定休日労働のルールが適用される。月給制で通常の月給に休日分が含まれている前提なら、8時間以内の勤務については追加で1日分の賃金を支払う考え方だ。

労働部は、月給3万6000台湾ドルの労働者を例に試算を示している。計算の前提は、3万6000台湾ドルを30日、さらに8時間で割り、平日1時間当たり賃金を150台湾ドルとみなす方法だ。この場合、10月9日に8時間出勤すれば、追加で150台湾ドル×8時間=1200台湾ドルが支給される。ここでいう1200台湾ドルは、月給とは別に上乗せされる部分であり、「当日の総額が1200台湾ドルだけ」という意味ではない。実務ではこの点を誤解しやすい。

また、8時間を超えて働かせた場合は、その超過分について通常の延長労働の規定に沿った計算が必要になる。国定休日労働は、8時間以内であれば「加倍発給」、すなわち追加で1日分という整理だが、9時間目以降まで同じ単純計算で処理してよいわけではない。実際の給与計算では、月給制か時給制か、通常賃金の算定方法をどう契約しているかによって確認項目が増えるため、社内ルールと法定基準の両方を照らす必要がある。

10月10日:国慶日当日でも、典型例では「休息日」計算になる

一見すると10月10日こそ国慶日当日であり、もっとも高い手当がつきそうに見える。しかし、労働部が10月7日に示した典型例では、月曜から金曜勤務・土曜休息日・日曜例休日の職場では、国慶日の法的な休みは10月9日に補われるため、10月10日そのものは「休息日」として扱われる。ここが今回の実務で最も混同されやすいポイントだ。10月10日に出勤したからといって、自動的に国定休日労働の「加倍発給」になるわけではなく、休息日出勤の割増方式で計算する。

台湾の労働基準法24条では、休息日に働かせた場合、最初の2時間は平日1時間当たり賃金に対して追加で3分の4、2時間を超えた後は追加で3分の5以上を支払う仕組みが採られている。労働部の同じ試算では、時給換算150台湾ドルの人が10月10日に8時間働くと、150台湾ドル×2時間×4/3+150台湾ドル×6時間×5/3=1900台湾ドルが追加支給額となる。10月9日の1200台湾ドルより大きくなるのは、休息日労働が時間ベースの割増計算だからだ。

さらに、休息日労働には時間の数え方にも特徴がある。労働部の説明資料では、休息日の勤務時間と賃金計算は4時間以内なら4時間、4時間超8時間以内なら8時間、8時間超12時間以内なら12時間として扱う考え方が示されている。つまり、短時間だけ呼び出したつもりでも、計算上は切り上げが生じ得る。今回の国慶日連休では「土曜だから少しだけ出てもらう」という運用が賃金面で割高になりやすく、現場管理ではとくに注意が必要だ。

10月11日:例休日は原則として出勤させられない

10月11日日曜日について、労働部は典型例で「例休日」と明示している。例休日は週1日の強行的な休養日という性格が強く、休息日とは違って、労使が合意すれば自由に出勤させられる日ではない。労働基準法36条と40条の整理では、天災、事変、突発事件といった例外がある場合を除き、例休日に労働させることはできない。したがって、通常業務の繁忙、シフト不足、月末処理の都合といった理由だけで10月11日に出勤を組むのは、法令上のハードルが高い。

仮に法定の例外に該当して例休日に働かせた場合には、賃金の加算だけでなく、事後の補休付与など別の義務も問題になる。つまり、10月11日は「出勤させるなら何円上乗せか」という以前に、そもそも出勤命令が許されるかを確認すべき日だ。今回の3連休をひとまとめに「連休出勤手当」として処理する発想では、この違いを見落としやすい。人事担当者がまず行うべきなのは、11日を休息日と誤認していないか、勤務表上の休日区分を再点検することだろう。

全員同じではない 個別契約と休日振替の確認が欠かせない

ここまでの10月9日、10日、11日の整理は、あくまで労働部が示した「月曜から金曜勤務、土曜休息日、日曜例休日」という典型例に基づく。交代制勤務、小売、飲食、物流、製造、医療などでは、休息日や例休日が別曜日に置かれていることも珍しくない。その場合、10月9日が補休日にならず通常勤務日である可能性もあるし、逆に他日に国定休日の補休を設定している場合もある。記事の読み手としては、連休の名称より先に、自分の契約上の「工作日」「休息日」「例假」「休假」の区分を確認する必要がある。

もう一つの実務上の要点は、国定休日と勤務日を入れ替える、いわゆる休日調移だ。労働部は、こうした調整自体は可能だが、個別労働者の労働条件変更に関わるため、労働者本人の同意が必要であり、どの日を移したのかを明確にしなければならないと説明している。会社全体の掲示だけで当然に有効になるわけではなく、調移後の国定休日をいつ取らせるのかが不明確なら、後から賃金紛争の火種になる。実務では、就業規則、勤務表、本人同意の有無、この三つがそろっているかを確認したい。

加えて、時給制や日給制、変形労働時間制、補休の取り扱いなどによって、具体的な計算方法の細部は変わり得る。台湾労働部も、運営形態と排班態様は多様であり、個別案件には差があると繰り返し注意喚起している。したがって、月給3万6000台湾ドルで10月9日は1200台湾ドル、10月10日は1900台湾ドルという数字は、制度理解の基準として有用だが、そのまま全員に当てはまる共通答えではない。読者が確認すべきなのは、まず休日の法的性格、次に賃金形態、最後に会社と本人の約定内容である。

今回の判断基準になった法令と公表内容

今回の整理の土台になっているのは、台湾の労働基準法36条、37条、39条、40条と、10月7日に台湾労働部が公表した国慶日連休の出勤・賃金ルールである。36条は例休日と休息日の原則、37条は国定休日、39条は休日の賃金支給と休日出勤時の加算、40条は天災や突発事件時の例外を定めている。制度の骨格を押さえると、10月9日・10日・11日が別々のルールで動いている理由が見えてくる。

実務上の判断を一言でまとめれば、2026年の台湾国慶日3連休は「3日連続で休み」という見かけ以上に、休日の種類を見分ける力が問われる連休だ。一般的な週休二日制では、10月9日は国定休日扱いで8時間出勤なら追加1200台湾ドル、10月10日は休息日扱いで8時間出勤なら追加1900台湾ドル、10月11日は原則出勤不可という理解が出発点になる。ただし最終判断は、個々の勤務体系と合意内容の確認なしにはできない。給与計算の前に、まずその日が何の休日なのかを確定することが、紛争を避ける最短ルートになる。

Leave a Comment

Your email address will not be published. Required fields are marked *