ベトナム、教員不足と余剰の是正へ地方に採用・学校間配置を指示 2026〜27年度中の解消を要求

ベトナム政府は、教員不足の学校と余剰の学校を同じ地域内でどう調整するのかについて、まず地方が持つ採用枠を使い切ること、そのうえで学校間の異動や派遣、複数校兼務で偏在を埋め、なお不足する場合は契約教員も活用する方針を明確にした。単純に「全国で教員が足りない」という話ではなく、地域ごとの採用の遅れ、予算未手当て、配置調整の不十分さが授業担当教員の不足を生んでいる、という整理である。

この方針は、ベトナム政府官房が2026年9月25日に公表した通知500/TB-VPCPに基づく。前日の9月24日に開かれた会合の結論をまとめたもので、2026〜27年度のうちに、主観的要因による「教壇に立つ教員不足」を終わらせるよう地方へ求めた点が最大の焦点だ。

9月25日公表の通知が示したのは「総数不足」より「偏在の是正」

今回の通知が示したメッセージは明快だ。地方政府は、管内の学校で起きている教員の不足と余剰を、同じ教育行政の枠内で動かして解く責任を負う。具体的には、配分済みの教員定数を速やかに採用で埋めること、学校間での異動・転任・出向にあたる措置を進めること、1人の教員が複数校を担当する「連携配置」を活用すること、そして定数採用だけで埋まらない学校には契約教員を充てることが並んだ。

重要なのは、政府が不足の原因を一律に人口増や教員志望者減だけに求めていないことだ。通知では、採用の遅れ、契約を結ばない運用、予算を手当てしない対応、権限内での人員調整を行わないことなど、行政執行の問題を不足の直接要因として扱っている。つまり、同じ省・市の中でも学校ごとに人員の過不足が併存しており、そこを動かせていない点が問題視されている。

地方に求められた4つの実務――採用、異動、兼務、契約

通知の中核は地方政府への実務指示にある。第1に、すでに認められている教員定数を採用で埋め切ること。ベトナムでは、必要数そのものが認められていないケースだけでなく、認められたポストが採用されないまま残るケースが課題とされてきた。9月の国会関連の説明では、未採用の教員ポストがなお約4万6000残るとの認識も示されている。

第2に、地域内での人員移動である。これは単なる転勤ではなく、余剰が出ている学校の教員を不足校へ回す仕組み全体を指す。学年構成の変化や都市・農村間の児童生徒数の違いで、同じ地方でも余る学校と足りない学校が分かれるためだ。第3に、複数校配置の活用で、特に特定教科の担当教員が足りない学校では即効性がある。第4に、契約教員の採用である。定数で間に合わない学校には労働契約による教員確保を認め、地方が自前で予算や適法な収入源を手当てするよう求めた。地方で賄えない場合は、財政省と教育訓練省に報告して上位判断を仰ぐ流れになる。

制度の要点は「誰が採るか」と「どの学校に置くか」が分かれたこと

日本の読者にとって分かりにくいのは、採用と配置が同じ話ではない点だ。ベトナムでは近年、教員人事の権限整理が進み、公立の就学前教育、普通教育、継続教育などでは、各省・市の教育訓練局長が採用や受け入れ、人事異動、派遣などの権限を持つ枠組みが明確化されている。これにより、学校単位ではなく地方単位で教員を見て、不足校と余剰校をまたいで調整する考え方が強まった。

ここでいう「定数」は、単に学校が望む人数ではなく、行政から認められた教職員枠を指す。一方で現場の不足感は、実際の学級数、教科編成、児童生徒数、地域特性、退職者数などから生じる。つまり「法的に認められた枠の不足」と「認められた枠を採れていない不足」と「学校間での偏在による不足」は別物であり、今回の通知は後ろ2つを地方の執行課題として強く突いている。

地方別の実績が焦点になる理由 採用・配置と教員養成がつながる

今後の検証で焦点になるのは、各地方がどこまで採用を埋め、どの程度学校間配置を進められるかだ。現時点で政府は全国一律の達成を宣言しておらず、地方別の進捗を見ながら実施を迫る段階にある。したがって、「不足は解消済み」と読むのは早い。むしろ、2026〜27年度中に終わらせるというのは目標であって、現状認定ではない。

同時に、この問題は教員養成とも直結する。9月24日の会合では、教育訓練省に対して全国の学段・教科別需要を精査し、人口規模、児童生徒数、学校数、地域特性、退職・離職、配置調整の可能性まで踏まえて把握するよう求めた。これは、足りない教科や地域を見誤ったまま教員養成を続けると、卒業者がいても必要な学校に届かないからだ。地方の需要見通しを基に、師範系大学や教員養成機関への発注、入学定員の設定、養成の質管理を結びつける必要がある。

ベトナムでは以前から、地方が将来需要を見込んで教員養成を発注する仕組みの整備が課題だった。今回の通知は、その前段として、まず足元の採用・配置データを正確にしなければ、養成側の定員設計もずれるという認識を示したといえる。

生活への接点は「授業を担当する教師がいるか」にある

この政策が保護者や児童生徒の生活にどう関わるかは明確だ。問題は統計上の教員数ではなく、実際に授業を持つ教員が学期中に確保されるかどうかである。採用手続きが遅れたり、予算がつかなかったり、教員が学校間で動かないままだと、特定教科の授業数不足や兼務の過重化が起きやすい。政府が「教員不足」を、地方の執行責任と結びつけて是正を急いでいるのはこのためだ。

直接答えれば、ベトナム政府は不足校と余剰校の調整を、地方に対する採用枠の充足、学校間の異動・派遣、複数校配置、契約教員活用の4本柱で進める。そのうえで、地方別の実績を積み上げ、教員養成の定員や発注にも反映させる構えである。2026年9月25日時点で確認できるのは、全国的な不足人数の推計よりも、地域・学校ごとの偏在と採用・予算執行の是正を優先する政府方針が明文化されたという事実だ。

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