韓国・仁川で発生したグアム行き旅客機の出発遅延をめぐり、韓国のタレント、パク・スホは8月26日、自身の対応が混乱を招いたとして謝罪した。対象便は23日に仁川国際空港からグアムへ向かった大韓航空KE415便。大韓航空は、同乗していたパク家族に対し「特別扱いはしていない。通常の手続きに沿って対応した」と説明し、公式な遅延時間は51分、到着は予定より39分遅れだったと明らかにした。
今回の経緯は、オンライン上の目撃談が発端となり拡散した。一部では「いったん降機した有名人が再搭乗し、出発が遅れた」との趣旨で語られたが、同社の説明はこれと異なる。パク家族は搭乗後、幼い子どもの激しい泣き声が収まらず、他の乗客への迷惑を懸念して自発的な降機の意思を客室乗務員に伝達。ただし実際に機外へは出ておらず、機内で待機していた。その後、子どもが落ち着いたため降機の意思を撤回し、引き続き搭乗する判断に切り替えたという。
航空会社は降機の申し出を受けた時点で、当該乗客の受託手荷物を貨物室から取り下ろす安全手続きに着手していた。国際線では、搭乗済みの乗客が飛行を取りやめる場合、本人不在の手荷物を機内に残すことはできない。このため、手荷物の探索・取り下ろしと関連確認に一定の時間がかかる。意思撤回後も、再出発の準備に追加の確認工程が必要となり、全体の出発シーケンスに影響が及んだ。
運航記録上、KE415便は定刻の10時05分出発予定に対し、実際の出発は11時15分とされる。一方で航空会社が示した公式遅延は51分で、到着は39分遅れにとどまった。運航情報として表示される時刻と、航空会社が算定する公式遅延の扱いには差があり、単純に「70分の遅延が特定乗客のために発生した」と断じることには注意が必要だ。
パク・スホは26日、ソーシャルメディアで謝意とともに経緯を説明した。搭乗直後に子どもが着席できないほど泣き続け、長時間のフライトで周囲に迷惑をかけることを恐れて降機の意向を伝えたが、機内で待機中に子どもが落ち着いたため撤回したと述べた。また、保安確認や受託手荷物の取り扱いに相応の時間が必要であることを十分理解していなかったとし、他の乗客と航空会社に迷惑をかけたことを謝罪した。
一部では「有名人への便宜供与ではないか」との疑念も出たが、大韓航空はこれを否定。自発的降機の申し出が生じた場合は、定められた手順に従って一律に対応しており、申し出の撤回が起きる事例も一般の乗客で発生しているとして、特段の配慮はなかったとの立場を示した。
自発的降機は、出国手続きと搭乗を終えた乗客が自身の意思で飛行を取りやめる行為を指す。国際線では、単独の降機でも保安上の確認と受託手荷物の取り下ろし対応が不可欠で、運航全体の準備工程に連鎖的な影響が生じうる。韓国の航空保安法施行規則は、離陸前に降機が発生した場合の処理手順整備を航空会社に求めており、国家航空保安計画でも、航空会社が関係機関と連携して理由の確認や必要な保安措置を講じることを規定している。
今回の焦点は、有名人であることの「特別扱い」の有無というより、単一の判断変更が国際線の複雑な保安・手荷物手続きと重なり、多数の乗客に影響を及ぼし得るという運航上の構造的な事情にある。初期段階で広まった「いったん機外に降りてから再搭乗した」との表現や、例外的な再搭乗を許したとの見方は、現時点で示された航空会社の説明とは整合しない。なお、報道で用いられた夫妻の写真は本人のSNSからの資料画像であり、事案そのものとは直接の関係はない。