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日本株、売買代金10兆円時代に
海外勢と個人マネーが厚み増す上昇相場 日本株市場の商いが一段と膨らんでいる。東京証券取引所プライム市場の1日あたり売買代金は5月に入り10兆円規模へ拡大し、前年同時期と比べてほぼ倍増した。株価が最高値圏で推移するなか、海外投資家の資金流入に加え、個人投資家による短期売買も活発化している。大口の利益確定売りを吸収しながら上値を追う展開は、相場の地合いが従来より厚みを増していることを示している。 プライム市場の売買代金は5月中旬に急増した。14日には12兆円を超え、東証1部時代を含めても過去最高水準となった。5月の1営業日平均も10兆円を上回るペースで推移しており、かつての日本株市場では想定しにくかった規模の資金が日々交錯している。 背景にあるのは、まず海外マネーの回帰だ。日本企業による資本効率改善、自己株買い、増配など株主還元の強化は、海外投資家にとって日本株を再評価する大きな材料となっている。東証が上場企業に対して資本コストや株価を意識した経営を求めていることも、企業改革への期待を押し上げている。米国株に比べた相対的な割安感も残っており、グローバル資金の分散先として日本株を組み入れる動きが続く。 けん引役は半導体、AI、電機、精密、商社などの大型株だ。米国のAI投資ブームを受け、関連する装置・部材・投資会社などに資金が向かいやすい。指数寄与度の大きい銘柄が買われることで、日経平均やTOPIXの上昇が市場全体のリスク許容度を高め、さらに売買代金を押し上げる循環が生まれている。 個人投資家の存在感も増している。新NISAを契機に家計の資産運用への関心は高まり、長期資金の流入が続く一方、足元では値動きの大きい大型株やテーマ株を対象にした短期売買も広がっている。株価が高値圏にある局面では利益確定売りも出やすいが、押し目を狙う個人マネーが下値を支える場面も目立つ。 売買代金の急増は、単なる過熱感だけでは説明しきれない。上昇相場で商いが細ければ、一部の銘柄や限られた資金に依存した脆弱な相場になりやすい。これに対し、現在の日本株は大規模な売り注文をこなしながら上昇している。流動性が増したことで、海外勢、国内機関投資家、個人投資家、短期筋が同じ市場で活発に売買を重ね、価格形成の層が厚くなっている。 もっとも、10兆円規模の商いが常態化するかはなお見極めが必要だ。日本銀行の金融政策、長期金利の上昇、円相場の変動は引き続き市場のリスク要因となる。金利上昇が企業価値評価を押し下げれば、高PER銘柄を中心に調整圧力が強まる可能性がある。海外勢の買いが細れば、足元で膨らんだ短期売買が逆回転する展開もあり得る。 それでも、日本株市場が新たな段階に入ったことは明らかだ。長らく低成長、低収益、低評価の印象が強かった日本企業は、資本効率と株主還元を意識する経営へと変わりつつある。市場参加者も国内中心から世界の資金を巻き込む構図へ変化している。 売買代金10兆円時代は、日本株が再び国際金融市場の主要な投資対象として存在感を取り戻していることを映す。今後の焦点は、株価がどこまで上がるかだけではない。この厚みを伴った商いが一時的な熱狂に終わるのか、それとも日本株の構造的な再評価を支える基盤となるのか。市場はその持続力を試す局面に入っている。
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