
韓国の李在明大統領の支持率が、就任1年を前に64%へ上昇した。韓国ギャラップが5月22日に公表した世論調査で、李大統領の職務遂行を「評価する」と答えた人は64%、「評価しない」と答えた人は28%だった。肯定評価は2週連続の下落から反転し、前週より3ポイント上昇した。
韓国政治では、大統領の就任1年前後の支持率は政権運営の安定度を示す重要な指標とされる。今回の64%は、同時期の歴代大統領と比べても高い水準で、文在寅元大統領に次ぐ水準とされる。李政権は物価や為替、財政支出を巡る不満を抱えながらも、経済・民生政策への期待を背景に、なお強い支持基盤を維持している。
支持理由で最も多かったのは「経済・民生」だった。韓国では家計負担や雇用、住宅問題への関心が高く、政権への評価も日々の生活実感と結びつきやすい。今回の調査では、外交や職務能力、庶民向け政策、国民との意思疎通も肯定的に評価された。株価上昇を理由に挙げる回答もあり、金融市場の改善が大統領支持率に一定の影響を与えていることがうかがえる。
一方で、否定的な評価も経済と財政を中心に広がっている。過度な福祉政策や民生支援金への懸念、為替や物価を含む経済不安、さらに李大統領本人を巡る道徳性や裁判問題を指摘する声があった。つまり、経済・民生は政権を支える最大の材料であると同時に、反発を招く最大の争点にもなっている。
政党支持率では、与党の「共に民主党」が45%、保守系最大野党の「国民の力」が22%だった。与党が野党を大きく上回る構図は続いているが、両党の差は4月初めの30ポイントから23ポイントへ縮小した。支持政党を持たない無党派層は26%に上り、地方選挙を前にこの層の動きが結果を左右する可能性がある。
6月3日に予定される地方選挙については、「与党候補が多く当選すべきだ」とする回答が46%、「野党候補が多く当選すべきだ」とする回答が33%だった。与党勝利を望む声がなお優勢だが、その差は春先より縮まっている。特に中道層、ソウル、30代、60代で与党への支持にやや陰りが見られ、選挙戦の終盤に向けて野党の巻き返し余地も残されている。
日本の読者にとって注目すべき点は、この地方選挙が単なる自治体選挙にとどまらないことだ。韓国では地方選挙も大統領の国政運営に対する中間評価として受け止められることが多い。与党が大きく勝てば、李政権は経済対策や外交政策をさらに強く進める余地を得る。一方、野党が善戦すれば、政権への牽制圧力が強まり、国会運営や政策決定の速度にも影響が出る可能性がある。
対日関係の面でも、韓国国内政治の安定度は無視できない。李政権が高支持率を維持すれば、経済協力や安全保障、サプライチェーンを巡る日韓協議でも一定の継続性が保たれやすい。ただし、選挙が近づくにつれて国内向けの政治メッセージが強まり、歴史問題や外交姿勢が争点化する可能性もある。日本側としては、支持率の高さだけでなく、どの層で支持が揺れているのかを見る必要がある。
今回の世論調査は、5月19日から21日にかけて全国の18歳以上の有権者1002人を対象に実施された。調査方法は無線電話の仮想番号を使った電話面接方式で、標本誤差は95%信頼水準でプラスマイナス3.1ポイント、回答率は12.0%だった。
李大統領の支持率64%は、政権への信任がなお強いことを示している。しかし、地方選を巡る与野党の差は縮まりつつあり、特に首都圏と中道層では有権者の判断が流動的になっている。韓国政治は、表面上は与党優位に見えるが、その内側では政権安定を望む声と、一定の歯止めを求める声がせめぎ合っている。6月3日の地方選挙は、李政権の2年目の進路を占う最初の大きな試金石となりそうだ。