
日本の家計において、利子や配当などの資産所得の存在感が高まっている。長年続いた超低金利時代の終わりと企業の株主還元強化が重なり、金融資産から得られる収入が増加している。
日本銀行の金融政策正常化により、預金金利は徐々に上昇している。これまでほとんど利息を期待できなかった預金商品でも、家計に一定の収益をもたらし始めている。
企業側も変化している。上場企業では配当増額や自社株買いを通じて株主還元を重視する動きが広がっている。東京証券取引所による企業価値向上の要請も背景にある。
近年の株高も家計資産を押し上げている。個人投資家の保有株式や投資信託の評価額上昇に加え、配当収入の増加も資産形成を後押ししている。
こうした変化は消費にも影響を与える可能性がある。資産所得が増えれば家計の可処分所得が拡大し、個人消費を支える要因となるためだ。
一方で資産保有額による格差拡大を懸念する声もある。金融資産を多く保有する世帯ほど恩恵を受けやすく、世代間や所得階層間で差が広がる可能性が指摘されている。
政府は新NISA制度の拡充を進め、個人の資産形成を後押ししている。投資を通じて家計の安定収入を増やす取り組みが今後も重要な政策課題となりそうだ。
資産所得の拡大は、日本経済が「貯蓄中心」から「資産運用重視」へ移行していることを示す象徴的な変化として注目されている。